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腐女子街道を歩み始めた蒼井の戯言帳。 日常や物語などを気ままに更新中。
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「……そんな所で何寝てやがる」

路地で寝っ転がっていた(正確には起き上がれない状態だった)俺に話しかけてきた声に反応して瞼を開けると、そこには見慣れた制服を着た男が一人。
「…これはこれは。誰かと思えば鬼の副長さんではありませんか」
俺は力なく笑いながら続けた。
「で?もしかして天下の新撰組の副長が困ってる市民に手を差し伸べに来てくれたのかな?」
「んな訳ねーだろ。ただゴミを撤去しに来ただけだ」
「相変わらず、酷い言い方で…」
「…そんなことより」
「ぅわ、冷たい」
「何でお前、血流してんだ?」
「……我が家の犬が最近ご機嫌斜めだから、こう…ガブッと…」
「犬の躾も出来ねーのかテメーは」
「いや、あれは犬じゃないからね。あれを犬としたら日本は終わるからね。あれは怪物だよ怪物」
「テメーのペットくらい手懐けなくてどうすんだよ」
「俺は世話するより世話される方が性に合うんだよ」
「阿呆かテメーは」
溜息を吐く姿をポーッと見つめた。
「……なぁ副長さん」
「あん?」
「俺の世話、してくんない?」
「……」
「副長さんの犬にならなっても良いかなー」
「俺は御免だ」
「ええー、俺すっごい利口な犬だよ?ご主人様を命懸けで守るよ?」
「自分の身くらい自分で守れる」
「あー無理無理。副長さん案外抜けてる所あるから、俺みたいな奴が居ないと貞操が危ないよ」
俺がそう言うと、鼻先に刀が触れた。
「テメーに心配される覚えはねーよ」
「だって副長さんの貞操を奪うのは…」
「奪われない」
「ちょ、被せないでくれよ」
「俺のものは何であっても、誰であっても、絶対に奪わせない」
「……そうかいそうかい」
俺は鼻先に触れてる刀を指でどかし、ふらつく体を我慢して立ち上がった。…畜生、傷が結構深いかもしれん。
「…なぁ、副長さん」
「んだよ」
そう言って副長は煙草に火を付けた。
「……本当に、ペットは要らない?」
「ああ」
「ならさー頼れるペットの銀さんと優しい奥さんの銀さんなら…どっちが良い?」
「……は?」
「どっち?」
俺は黙って返事を待った。
煙草の火がユラユラと空へ昇っていく。
「……俺は」
土方が口を開く。
「俺は、頼れるし優しい旦那が、一番良い」
「え…っ」
「…なんて、な。嘘だ万屋」
そして土方は俺に背を向けて歩き出した。名前を呼ぼうと開いた口から声が出せず、金魚みたいに無駄に口をパクパクさせたが、静かに閉じた。その間に土方の背中はどんどん小さくなっていった。
「……副長」
俺は小さい声で呟いた。
「本気で俺と結婚しない?」

だが、土方の姿は

もう無かった…





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蒼井 澪
性別:
女性
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 2月18日

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