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「………何これ」
突如投げかけられた質問に一瞬戸惑ったが、質問者の視線を追ってみると質問の意図が分かった。
「野球ボールだよ、野球ボール」
「何でお前の部屋にあんの?」
「何でって……俺が元野球部だからだろ?」
言ってなかったか?と問えば、聞いてない!と怒られた……そんなに怒ることか?
「何で野球やめたんだ?」
その問いを…俺は何回聞いてきただろうか。きっと数えられないだろう。
「なぁ何で?」
「……怪我だよ」
「怪我?」
「そうだよ、怪我」
嘘だ…怪我なんてしたことがない。生まれてから捻挫も骨折も無いのが俺の自慢なんだ。
『好きだ』
懐かしい声が脳内に響く。思い出したいような思い出したくないような……複雑な気持ち。
あれから3年も経つのに、まだアイツは俺の中に居るんだな…さっさと出てけよ、俺の中から…
「…これ何だ?8?」
目の前で聞こえた声で我に返った。
「8?何それ?」
聞き返してみると、さっきの野球ボールをずいっと見せられた。見てみたら確かに野球ボールには8の文字があった。
「……でも8じゃねぇよ?」
俺がそう言うとキョトンとした顔をされた。
「これ8じゃねぇの?」
「あぁ。これは8じゃなくて…」
野球ボールを手にとった。
「こうやって向きを変えたら…ほら」
「……∞?」
「そういうこと。八じゃなくて無限なんだよ」
俺は野球ボールを優しく握りしめて、淡い思い出に浸っていた。
この∞の意味は誰にも言えない大切なメッセージ。2人だけのものだ。
そう考えると体が熱くなる気がするのは気のせいだろうか…
eight ball
(8と書いた黒い玉)
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完全なる片想い状態ですね。しかも相手には忘れられない人が居る…
定番だけど、こういうすれ違いするのはちょっと好きです。
…すれ違いすぎるのは嫌ですが←
なんか真面目系で恥ずかしい(^o^)
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