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ぎんたま(ぎんひじ)
「おーい、マヨ大将ー」
「…誰がマヨ大将だ?あぁ?」
「お、居た居た。まぁそんなカリカリしなさんなって。ほれ、土産のマヨ」
そう言ってマヨを差し出すと、少しだけ目が輝いたのが分かった。
……本当に分かりやすい奴。
危うく口から出そうになった言葉を頑張って飲み込んだ。
そんなことを言ったら俺は血の海に沈むことは避けられないだろう。
ブルッと体が震えた。
この人は怒らせない方が世のためでもあるのだ。
すると、マヨ大将が"鬼の副長"の顔になった。
「テメェ…俺がマヨに釣られる馬鹿野郎だと思ってんだろ!」
「それで釣れたら安いもんだけどな」
「どういう意味だよ」
「さぁ~ね~」
それくらい自分で考えなさいよ、と言ったら副長さんの眉間の皺がより深くなった。
……あ、これ地雷?
そう思った瞬間、鼻先にチクリと痛みが走る。
副長さんが刀を俺の鼻先に突き付けたのだ。
…いやいや、俺に刺さってるんですけど?距離感無いんですか?今時の侍でそれは無いでしょ、あの新撰組の副長さんともあろうお方が。
血が鼻先から伝うのが分かった。
「副長さん、血出ちゃってるよ、銀さんの鼻から血出てるよ」
「何エロいこと考えてんだよ」
「え、そこ?!どう見ても鼻先からだよね?!鼻血じゃないってわかるよね?!」
「テメェみたいな奴はムッツリが多いからな」
「はい残念!銀さんはオープンスケベですームッツリと一緒にしないで下さーい」
「黙れよ」
「いたたたたたたたたっ!!!!鼻に刺さってるから!力込めたら銀さんの大事な鼻がダメになる!」
「ダメになっても構わねーだろ。どうせ大した嗅覚もねーくせに」
「いやいやナメてもらっちゃ困るよ。銀さんの鼻はとっても優秀だかんね?」
「食い意地張ってるだけだろ」
「違いますーそれは何処かのチャイナ娘ですー」
じゃぁ何なんだよ、と言いたげに眉間に皺を寄せる副長さん。
それを見て俺は口を開いた。
「…この鼻があるからお前を探せんだよ」
お前の匂いはこの鼻が覚えてるから、何処に居てもお前を見つけられる。
そう言った俺の鼻先から刀が離れた。
何故と思った反面、刀からの解放に安心した。
…畜生、本当に鼻血出したみたいに垂れちゃってるよ…しかも鼻先に絆創膏貼るの?え、それって恥ずかしくない?
悶々と悩んでる俺に、副長さんは背を向ける。
「あれ、副長さん?市民を傷つけておいて黙って帰っちゃうの?」
「……お前みたいな化け物を市民扱いしてたらやってられねーよ」
「化け物って…」
「他人の匂いを覚えるなんて気味悪ぃ奴だ」
「…それは仕方ねぇよ」
ニヤリと俺は笑った。
「だって誰よりもお前の近くに居続けてんだからな」
…俺の言葉に、副長さんが振り向くことは無かった。
ぐっどすめる
(お前の匂いが昼夜で変わるなんていうことは、俺さえ知ってれば良いんだ。寧ろお前の匂いすらも誰にも知られたくなんかない)
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