×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「俺らって付き合ってどれくらい経つ?」
「うーん…5ヶ月くらい?」
「もうすぐ半年かー」
「…うん」
え、そこで黙るの?
いやいや何かあるでしょ何か。
「……進展無いね、俺ら」
言わないから言ってやった。
お、凄いスピードで顔が赤くなってく。面白い。
「お、おま…そんなこと…」
「そんなことって何だよ失礼な。だって付き合ってるのに何も無かったら友達と一緒じゃん」
「ん……」
眉が八の字になるのが可愛い。
けど今日は無視。
「俺だって好きだから付き合ってんだよ?だったら恋人として次のステップにーだなんて考えるのは普通だろ?」
「むむ…」
「いや、別に俺から行っても良かったんだけど…何て言うか……俺は彼女体質な訳よ。だからお前から来てほしかった」
「むむむ…」
「……なーんて、ちょっと愚痴ってみたり」
冗談だから忘れて、なんて敢えて言ってみる。
その言い方するとコイツが凄い気にするのを知ってて。
すると、モゴモゴとしながらも口を開いてくれた。
「……じゃぁ今行ってみても良いですか」
カァァっと音が聞こえそうなくらい急激に赤くなる顔。
「……え、今?」
多分、俺も同じくらい赤くなってる…
「うん…ダメ…?」
潤んで真っ直ぐ見てくる瞳に心臓が馬鹿みたいに高なった。
俺が希望してたのはもっと強気なのだったのに……何でこんなドキドキしてんだよ!落ち着け俺の心臓!
「……わ、わかったよ」
震えた声が俺の口から漏れる。
緊張が伝わったのか、目の前の馬鹿は動かない。
よく見れば手が小さく震えていた。
でも、俺の手も震えてるのが何となく分かってしまった。
……なんだ、結局は一緒かよ。
「…なぁ」
俺の声にビクッと反応し、弱気な目で俺を見た。
まるでご馳走を目の前に待てをされてる犬のような目。
「やっぱり……俺から行っても良い?」
「え、何で…?」
「いや、なんとなく…」
そう言いながら、俺は相手の肩に手を置いた。
「彼氏の立場も悪くないかな、なーんて…な」
その時の驚いた表情と言ったら…
本当に愛らしかった。
「やっぱお前が彼女だわ」
文句を言おうとした馬鹿の口を俺は静かに塞いだ。
先手必勝
(やられる前にやった方が選択権を持てるのかもしれない、なーんて思った高2の秋だった)
PR
Comment