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――ただ君が欲しかった。
「それだけだったんだ…」
そう言って涙を流すコイツを、どうして放っておけるのだろうか。
行為は許されないものだけど…それも許すべきなのではないか。
そう思わせるコイツは天使か悪魔か。
「ごめん、忘れて」
「え?」
「今までのこと、そして僕のこと」
何を言っている…?
「君に迷惑かけたくない…傷付けたくない…」
「……それで良いのかよ」
「…うん」
「そんな簡単に諦められるものだったのかよ、お前にとっての俺は」
「……」
「いろんなことを散々やられて、やっと向かい合おうと思えた時に忘れてだと?自分勝手にも程がある!」
「ごめん…」
「そうやって言えば俺が、嫌だ離れないでくれと言うと思ったか?」
「違…っ」
否定の言葉を発しようとする喉を掴んだ。
お前なんかの声を聞きたくもない。
「ぐぇ…っ」
苦しむ声が聞こえる度に、俺の中で何かが弾ける音がする。
「離し…て…」
「うるさい」
懇願も一言で切り捨てた。
「お前なんか居なくなってしまえ」
「…っ」
「そして俺の中だけで生きれば良い」
「ぇ…」
「お前の中にも俺だけで十分だ」
だから許せ。
「離れるのも誰かに渡すのも嫌だ」
どちらの行為が醜いかなんて知らない。
ただ…
どちらの心が醜いかはわかってる。
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